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シャドーバンキングとは?

こんにちは。

 

今日は「シャドーバンキング」という言葉について、解説していきたいと思います。

聞いたことはあるけど、何のことを言っているのかよく知らない!という方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

(まあ、私もその一人だったのですが…)

 

 

シャドーバンキングとは?

「シャドーバンキング」とは、銀行ではなく、証券会社(投資銀行含む)やヘッジファンド、その他の金融会社が行う金融仲介業務を指します。

そのまんまですが、日本語名称で「影の銀行」という言葉で語られることもあります。

端的にいうと、「銀行以外の機関による、銀行業務」ということでこのような名前がついています。

 

この言葉は、PIMCOのマネージング・ディレクターだったポール・マカリー氏の造語で、最初に彼が講演で使用し、後に彼のレポートである「Global Central Bank Focus」の中でも紹介され、2007年頃から広まるようになったそうです。

 

銀行以外の機関が行う業務にフォーカスしてこの言葉が生まれている理由は、銀行は非常に「規制が強い」業種であるということにあります。 

本来、銀行であれば規制対象であるために行うことができないリスクの高い金融業務でも、他の金融機関であれば規制の対象外となり、そのリスクの高い業務を行うことができてしまうということなのです。

 

また一般にシャドーバンキングは規制の対象外であることから、金融当局も実態をよく把握しきれていないと言われています。

 

経済にどのような影響を与えるのか?

2000年代

シャドーバンキングの問題が顕在化したのは、リーマンショックやサブプライムローン問題が最初であると考えられています。

先日ブログに書かせていただいた、リーマンショックやサブプライムローンの問題が顕在化する前に、欧米の大手金融機関が連結決算の対象から外せるペーパーカンパニーを相次ぎ設立し、シャドーバンキングを活用して多額の資金を調達・運用し、それが世界的な金融危機の一因になったとされています。

 

シャドーバンキングの問題点として、多額の資金を集めてレバレッジをかけられること、情報開示が不足あるいは開示をしていないこと、金融当局等が効果的に規制や介入ができないことなどが挙げられます。総じてリスクの高い商品が開発されるということがポイントです。

 

やはり規制があるということには一定の理由があります。金融の安定性を保っていくために規制を敷いているわけなので、その網をかいくぐっているシャドーバンキングはうまくいかなくなると途端に世界経済にとって大きなリスクとなりえるのです。

 

また、リーマンショック後のG20首脳会議で、金融危機再発防止策として、シャドーバンキング規制の考えが打ち出されました(一部は実施されました)。

(ここでは詳細は省略しますが、もちろん日本の麻生財務大臣からも規制について提案がありました。)

 

その後も、欧州債務危機など世界経済にとって深刻な事態が起る度に議題に上がりましたが、過度な規制に対しては米金融業界やヘッジファンド業界などからの抵抗が強く、リーマンショックや欧州債務危機からの回復が一段落すると、議論はいつの間にか立ち消えになりました。

 

2010年代

2010年代になると、今度は中国の金融システムの問題としてシャドーバンキングが世界的に再注目されるようになりました。

具体的な対象としては、信託会社やファンド、貸金業者、質屋などが該当し、その中でも特に問題なのが、信託会社などが組成し、主に銀行の窓口で販売された「理財商品(高利回りの資産運用商品)」です。

このとき、銀行は商品販売の窓口としての機能を果たしていますが、商品組成は銀行以外の機関が行っており、規制の対象にならないのです。

 

集められた巨額の資金が代替金融(場外融資)で主に地方政府の投資プロジェクト(不動産開発・インフラ整備等)に流れ、リスクが拡散していきます。

仮に、その投資プロジェクトが行き詰った場合、ステークホルダーが多岐にわたるために誰が損失リスクを負うのかが曖昧になっており(幅広い関係者が損失リスクを負う可能性があり)、最悪の場合、金融システム自体を大きく揺るがす恐れがあると言われています。

 

近年、中国では上記のシャドーバンキングによる取引規模が急激に大きくなっています。

その資金運用先によっては、中国の金融システムだけにとどまらず、サブプライムローン問題のように世界経済に大きな影響を与える要素に発展するのではないかと懸念されています。

 

所感

金融は規制業種であると言われますが、その中で規制の網目を潜り抜け発展しているシャドーバンキングには、やはり一定の規制を加えるなどの介入がより必要になるのではないかと考えています。

私は基本的に規制賛成派のスタンスで、「規制があるから自由なビジネスができない!」という考え方の人もいるのですが、やはり守るべきものがあるからルールがあるんですよね。

ポイントなのは、いかにしてよいルールを作っていくかということではないかと思います。

当たり前なんですけどね。それが難しいんでしょうね…。

当然、反対勢力も多くいるわけですから。

 

でもNextリーマンショックが起こる芽は早めに摘んでおきたいというのが一般的な考え方でしょう。

 

ではまた。